汚れとトラブルの違いをご存知ですか?
石は種類が多く建築資材の中でも扱いが難しいと言われます。
石種や特性をよく把握し、適材適所に使用することが必要です。
また、丈夫で汚れにくい素材に見えますが、日々侵食が進んでおり、劣化や汚れに関する問題が多く発生しています。
汚れといっても様々で、コーヒーやジュースのシミ・油汚れ等、石材の表面に付着した物や、水の浸入によって発生した
シミ、エフロなど数多くあげられます。
天然石は通気性があり、この通気性妨げない正しいケアが必要です。
石の表面に付着した汚れは専用洗浄剤などを使用することによりある程度除去できますが、水の浸入による汚れ(トラブル)
は処理が難しく、石の張り替えに至ることもあります。
石材のトラブルの原因は、石材自体に吸水性があることです。
吸水率が0であれば、裏面からの吸上げやエフロも表面のシミも錆も発生しません。
吸水性があるために、水や油などの液体が染込み、石材を汚染してしまいます。
さらには、酸性雨による石材自体の劣化の原因にもつながります。
汚れを防止するための方法に、①石表面にワックスを含む塗膜剤を塗布する方法があります。
この方法であれば表面からの汚れの染込みを防ぐ事が出来ます。
しかし、塗膜は石の風合いが大きく変わり石を使う意味がありません。
また、裏面から吸上げてくる汚れ(水分やモルタル灰汁、エフロ)には全く効果がありません。
さらに表面に通気性の無い皮膜を作ることで、下地の水分の逃げ場が無くなり、塗膜の下に水分による斑模様が発生します。
(写真左)
表面に塗膜があり、その下に水分が溜まっています。塗膜は透明なため石が吸上げたシミが透けて見えています。
(写真右)(ポップアウト現象)
通気性の無い塗膜材を塗布していた状態で裏面からの吸上げが発生し、石材の弱い部分が剥離している状態。
表面の塗膜剤で防ぎきれない石材の裏面からの吸上げ現象、エフロを防止する方法として、②裏面処理という方法があります。
裏面処理材は、樹脂の皮膜で石の裏に防水膜を作るため裏面からの吸上げ防止に効果があります。しかし小口の処理が難しく、
小口から石表面の目地周りに水分が染込み、額縁状のシミやエフロが発生します。
またワックスなどの表面皮膜とは逆で、表面からの汚れ防止には全く効果がありません。
AD-COATは、表面及び小口に浸透層を形成し、外からの汚れの染込み及び中からのシミの発生を防止します。AD-COATは、石材の表面から内部に数ミリの層を作るため、塗膜材を塗布した時のような風合いの変化も無く、下から吸上げて来たシミやエフロも表面から透けて見える事はりません。
AD-COATは、吸水防止効果及び撥油効果を持っていますが、通気性もあるため完全な防水、防油は出来ません。
長い時間水があったり、油が付いたままの状態だと少しずつ浸透していきます。
下の写真は代表的な吸上げ現象の写真です。
吸上げ現象及びエフロは、セメントに含まれるカルシウム分を含んでおり、晴れた日でも消えることはありません。
AD-COATはこの吸上げ防止効果に優れた製品で、多くの現場で採用いただいております。
写真左は、コート(他社)を塗布されていますが、吸上げ防止効果が弱部分的に吸上げが発生しています。
写真右は、AD-COATを塗布しています。せっかくコートを塗布しても性能の違いでこれだけの差が発生します。
吸水率の高い石材は、カビや藻類が生息しやすく、美観を損ねると共に石の劣化を早めます。
コートを塗布した部分と無塗布部分とでは、その差がはっきりと現れます。
塗布部分はカビや汚れの染込みが殆どなく、無塗布部分は、カビと大気の汚れが染込んでいます。
砂岩の表層剥離現象。 長い間、乾湿を繰り返すと石の層間に隙間が出来て表層から剥離して行きます。